昨年設定された大和AMの低コストインデックスファンドシリーズである「iFree」ですが、新興国株式及び新興国債券ファンドの最新の運用報告書が公表されました。
iFree 新興国株式は信託報酬率(運用管理費)が年率0.3672%(税込)と、他の新興国株式インデックスファンドと比べて低コストが売りとなっていますが、今回決算報告された実質コストは年率1.338%とその他費用が異常に嵩む結果となっています。
最初の決算を見ないと買って良いファンドかどうかわからないという、悪いお手本になってしまいました。
もう少し詳しく運用報告書をチェックしてみます。
iFree 新興国株式インデックスの特徴
- 投資対象:FTSE RAFIエマージングインデックス(円ベース)
- 信託報酬:年0.3672%(税込)
- マザーファンド:ダイワ新興国株式ファンダメンタルインデックスマザーファンド(純資産32億円、2017年7月)
- 決算:7月5日(年1回)
iFree 新興国株式インデックスは信託報酬が安いという特徴がありますが、それ以上に投資対象が「FTSE RAFIエマージングインデックス」というファンダメンタルインデックスであり、一般的な時価総額インデックス(MSCIエマージング・マーケット・インデックス等)とは異なります。
4つのファンダメンタル指標(株主資本、キャシュフロー、売上、配当)を元に銘柄のウェイト付けを行うと言うことで、最近業界が流行らせようとしているスマートベータとも呼ばれるもの。
時価総額インデックスとどちらが優れているかは、比較時期にもよるので一概には言えません。
実質的なコストについて
- 信託報酬:0.303%
- 売買委託手数料:0.190%
- 有価証券取引税:0.061%
- その他費用:0.550%
- (うち保管費用):0.469%
- 実質コスト:1.104%(年率1.338%)
※信託報酬、その他コストの金額は2016年9月から2017年7月までの11ヵ月間
※実質コスト運用報告書記載の実質コストを元に当ブログで年率換算したもの
さて、今回の決算期間は2016年9月から2017年7月までの11ヵ月間でしたので、運用報告書に記載の信託報酬やコストの値については見かけ上小さくなっており、注意が必要です。
実質コストが年率1.338%というのは、今どきの新興国株式インデックスファンドの中では異常に高コストです。
比較対象として、たわらノーロード新興国株式(2016年10月決算)の実質コストが年率0.804%、eMAXIS新興国株式(2017年3月決算)が年率0.831%といったレベルでした。
このコスト高の一番の原因は、保管費用年率0.568%です(たわらが0.127%、eMAXISが0.110%)。
どういう理由で保管費用がかかっているのかは運用報告書には説明がありませんが、設定時にも心配したようにマザーファンドの規模がたわら新興国株やeMAXIS新興国株と比べて1桁少ない数十億円規模なので、海外での保管費用はボリュームディスカウントの面で不利なのかもしれません。
ベンチマークとの乖離について
インデックスファンドの品質評価としては、ベンチマークに忠実に運用されたかどうかが重要です。
今期の騰落率は+22.9%(ベンチマーク+23.0%)
ベンチマークであるFTSE RAFIエマージングインデックスの値は配当込み指数を円換算していると記載されています。
期末の結果としては悪くないのですが、期中にはベンチマークからの乖離が1%を超える時期もありました。
前述のコストについては下振れの原因になっています。
また未収配当については投資できない為、株式組入比率が97~98%と抑えた運用を行った事も乖離の原因としてあげています。
原則は最初の決算報告まで様子を見る
iFreeインデックスファンドシリーズは低コストにこだわっており、最近も「iFree S&P500 インデックス」が信託報酬年率0.243%で設定されると話題になっていますが、安かろう悪かろうでは話になりません。
今回の事で、新しく低コストファンドが設定されたからと言って慌てて乗り換える必要はなく、最初の決算報告までは様子を見れば良いという事がよく分かるのではないでしょうか。
もっとも、良いファンドは自分たちの手で育てなきゃという話もありますが・・・卵が先かにわとりが先かという事でジレンマでもあります。
私が決算を待たずに買おうと思うのは、以下の場合に限ります。
- 先行ファンドがあり予想が立つ場合(eMAXIS Slimの例)
- マザーファンドの運用実績があり既に規模が十分大きい場合(たわらノーロードの例)
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